Doll‥ ~愛を知るとき
板前の山岡さんが
「おめでとう!」
って、言った。
あとに続いて他の板前さんやパートさん達、それから、あたしも朝美さんにお祝いを言った。
いつもは無口な義父も、厨房から顔を覗かせて「おめでとう」と言っていた。
「朝美ちゃん、誕生日なんか?おめでとう。」
浩也が朝美さんに声を掛けた。
「そうやねん。欲しかったワンピと同じの、愛波さんが着てたからビックリしたし~!浩也くんって優しいよね!奥さんにプレゼントするなんて!」
まるで喧嘩腰の口調で、朝美さんは答えていた。
彼女の言葉は、どんな風にも解釈出来る。
だけど、あの服は、浩也が朝美さんの為に買ったものだと感じた。
「愛波さん、ビールケース取りに行くから、手伝ってくれます?」
パートのオバサンが、あたしを呼んだ。