Doll‥ ~愛を知るとき
浩也は、深く溜め息を吐(ツ)いた。
そして
「愛波、お前、朝美ちゃんに何か言われたか?」
って、訊いた。
「え?なんのこと?」
何も気にしていないふりで、彼に訊き返す。
「いや、別に‥。」
浩也は、答えると
「参ったわ~!朝美ちゃんって妄想癖が酷いんやな。俺の愛人やって、山岡にゆーとってん。」
そう言って、癇に障る笑い声を立てた。
板前の山岡さんは、浩也や朝美さんと同い歳。
「そうなんだ‥。」
呟きながら酒屋の番号をダイヤルして、お酒を発注した。
「じゃ、あーくん迎えに行くね。」
「分かった。気ィつけて帰れよ。」
別人のように気遣ってくれる浩也に頷いて、あたしは事務所をあとにした。