Doll‥ ~愛を知るとき


「浩也は、父親にバレることを一番恐れてた。あの人、料理長のことが今でも怖いねん。」

「え?」

「知らんの?浩也の父親って今は大人しいけど、昔は家で暴れてたらしいよ。女将さんのこと殴ったり、物を壊したりしてたんやって。包丁振り回して怒鳴ったり、DVすごかったらしいよ。」


あたしが知らないことを朝美さんは知っている。

なのに、嫉妬は感じなかった。


「でも、笑うよ。」

朝美さんは、そう言うと

「浩也ってね、そんな父親に憧れてるねん。“昔のオヤジはカッコ良かった”っての、口癖やもん。笑うよね。」

って、クスクス笑った。

そして

「愛波さんは、殴られたりしてない?」

って、訊いた。


 
< 425 / 666 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop