Doll‥ ~愛を知るとき
樹は、玄関で待つようにと言った。
部屋に入ることを勝手に想像していたから、ちょっぴり意外だった。
一旦、部屋に入った彼は少しして戻って来ると
「行こっか。」
って、靴を履いた。
「どこに?」
「さぁ、どこかな?」
樹が意味深な笑みを見せるから、不安になってしまう。
「ね、夕方までに帰れる?」
思わず、家のことを気にしている自分が哀しかった。
「大丈夫だよ。行こ。」
「うん‥。」
玄関を出たあたし達は、廊下を進んでエレベーターに乗った。