Doll‥ ~愛を知るとき
走る車の中で、あたし達は他愛ない会話をしていた。
ふと、疑問に感じていたことを知りたくなって、彼に訊いてみた。
「なんで、お姉さんと話す時は関西弁だったの?」
その質問が可笑しかったみたい。
樹は、声を出して笑った。
「オレんち、家庭環境が複雑でさ。だから、オレ小1から中2までは、ばあちゃんちにいたんだよな。」
樹の祖母は、東京に住んでいる。
事情があって彼は親元を離れ、八年間を東京で暮らしていた。
癖みたいなもんだって。
親や姉と話す時だけ関西弁になるのは、小さな頃からの習慣みたいになっているって。
「愛波も関西弁使わねーじゃん。だから、オソロだよ。」
「うん。」
あたしの言葉は、きっと施設にいた時の担当の先生の影響。
子守唄を歌ってくれた先生。
小学五年生の時に その先生はいなくなったけど、一番すきな先生だった。