Doll‥ ~愛を知るとき
小さな白のGTRが遊歩道を走って行く。
樹の手に操られ、ビュンビュン速度を上げて。
「ラジコン、すきなの?なんか意外だね。」
ゆっくりと歩を進めながら、樹の手元を見ていた。
彼は立ち止まり、コントローラを動かす指を止めた。
「ガキん頃からすきだな。改造して、どんだけ速く走らせることが出来るかツレと競ったりしてた。」
「そうなんだ。」
子どもの頃の夢は、F1レーサー。
サーキットで走ることが夢だった。
調理師の資格を持つことは、言わば、夢が叶わなかった時の保険。
自動車免許を取得して専門学校に通いながら、毎夜、改造車で走っていた。
「高速飛ばしたり、峠を攻めに行ったりさ‥。」
樹は懐かしい目をして、その頃のことを話した。