Doll‥ ~愛を知るとき
一人暮らしの男の子の部屋は、樹の部屋しか知らない。
綺麗に整頓された空間で、彼の几帳面さを感じていた。
掃除や洗濯をしたい思いはあった。
だけど、樹のことが気掛かりで何も手に付かない。
ソファに浅く腰掛けて、早く帰って来ることだけを祈っていた。
壁時計を見つめて秒針の動きに合わせ、数を数える。
1から60までを何度も繰り返し数えて、10分程が経過した頃
── ピンポーン♪
インターホンの呼び鈴が鳴った。