Doll‥ ~愛を知るとき
「これ、オレのケー番。何かあったら電話して来いよ。マンションのエントランスに公衆電話が置いてあるからな。」
「はい。」
「それから鍵。スペアは実家で、今は これしか無いんだ。だから、愛波が持ってて。ちゃんと中からロックしとけよ。」
「はい。」
樹は、キーホルダーから部屋の鍵を外して、それを あたしに手渡した。
「じゃ、心配しないで待ってろよ。」
「うん、いってらっしゃい。」
落ち着かない気持ちは否めない。
だけど、笑顔で彼を見送った。
─ きっと大丈夫‥
そう信じて‥。