Doll‥ ~愛を知るとき
「ま、お前に選ばせたるわ。愛翔が大事やったら戻って来い。どうでもいいんやったら、ここに居れや。」
幼児の虐待死。
そんなニュースは何度も見て来た。
あたしは、諦めるしか無かった。
どんなに外面は良くても、親の前では大人しくても、逆上すれば何をするか分からない。
その恐怖は、否定出来なかった。
「バッグ、取って来る‥。」
「おぉ、早よせーよ。」
玄関の扉を開いて、浩也は、それを押さえた。
樹もあたしも、浩也の嘘に騙された。
あたしが一人なら何とかなる。
きっと、そう考えたんだ。
部屋に入り、床に置いたバッグを手にした時、首に掛かったネックレスが揺れた。
── 樹‥
あたしはネックレスを外し、バックの奥に忍ばせた。