Doll‥ ~愛を知るとき
─ 夢‥なのかな‥
頭の片隅で、そんなことを考えたと思う。
「ごめんな、愛波‥。考える時間が欲しかった。」
耳元で囁く樹の声を覚えてる。
「痛い‥。頭が痛いの‥。」
そんな言葉を口走って
「痛みを感じるのは、生きてる証拠だよ‥。愛波‥、大丈夫だからな。」
樹の言葉に安堵を感じた。
だけど
「おい!自由になれると思うなよ!」
浩也の怒鳴り声が響いた。
薄く張った膜を通して、それを見ているみたいだった。
部屋に飛び込んで来た浩也の手に、鈍くギラ付く包丁が見えた。
樹は、あたしを壁にもたれさせるように座らせて、立ち上がった。
そして
「オレ、今くらい人を殺したいと思ったことないっすね。」
と、浩也に言った。