Doll‥ ~愛を知るとき
中学生の頃
「将来は、医療関係の仕事に就きたい。」
と、歌穂は言っていた。
その夢を叶えていたことを、あたしは知らなかった。
公園で再会した時も、公衆電話から電話を掛けた時も、そんな会話をするココロの余裕が、あたしには無かった。
ケー番の下四ケタは、彼女の誕生日。
記憶を失う前『090』のあとの四ケタだけを、頭の中に入れていた。
歌穂が事情を知っているなら、彼女に連絡をすれば、樹に報せて貰えるかもしれない。
あたしの記憶が戻ったことを早く樹に報せたかった。
警察には、そのあとに電話すればいい。
プルル‥プープー‥
呼び出し音が鳴り出した途端だった。
プツリと電話が切れた。