Doll‥ ~愛を知るとき
あたしは、浩也に告げた。
「何もかも‥、思い出したの。だから‥、出てく。」
樹が傍にいても恐怖感は消えなかったけど、浩也の目を真っ直ぐに見つめた。
「なんでやねん!」
浩也は、力任せに壁を殴った。
ドンッと鳴り響く音に怖さを感じて、身を竦(スクメ)めた。
「そーゆのがイヤなの‥。もう暴力に耐えられないよ‥。」
潤んでくる涙を堪え、正直な気持ちを彼に伝えた。
浩也は、あたしを睨んでいた。
憎しみと哀しみを帯びた瞳だった。
「俺は離婚なんかせんからな!」
「いいよ‥。カタチなんかどうでもいい‥。あたしは、ここでは暮らせないだけ‥。」
それだけを告げて寝室に入り、あたしは眠る愛翔を抱き上げた。