Doll‥ ~愛を知るとき
「なんで俺じゃないねん!なんで、ソイツやねん!」
ココロが痛くなるような叫び声だった。
「俺は見たんや!引っ越しの前の夜、ソイツのマンションにお前が入って行くのを!」
まるで、強く殴られたような衝撃が脳を走った。
たった一度の過ちを、浩也は知っていたんだ。
引っ越しの前夜、樹に会いに行ったあたしを浩也は見ていた。
「だけど、我慢した。お前が俺を選んだんやと思って、忘れることにした。」
きっと、彼のプライド。
押さえ込んでいた悔しさを、口にすることが出来なかった。
そして、我慢出来なくなった感情は、哀しみを横暴さに変えたんだ。