Doll‥ ~愛を知るとき


「ね、浩也さん。暴力を愛波のせいにするなよ‥。」


静かな声でそう言うと、樹は鋭い瞳で浩也を見据えた。


「愛波と結婚する前から、朝美さんとデキてたじゃん。オレは、それを知ってた。浩也さんだって否定出来なくね?覚えてるよな?」


懐石料理店で働いていた頃、樹は、事務所で抱き合っている二人を目撃していた。


「あん時さ、浩也さん、オレに口止めしたよな。だから、愛波には話さなかった。」


だけど、それを知ったから、樹は、浩也とあたしの結婚を阻止しようと決めた。


─ そんなことがあったなんて‥


だから、浩也は、あたしと樹が会話することを、異常なほどに嫌っていたんだ。


─ エナ、いいか?俺以外の男と関わるな。アイツとも店以外で喋んなよ ─


ふと、樹に買って貰った缶ジュースを、浩也に投げ捨てられた夜を思い出した。


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