Doll‥ ~愛を知るとき
「最初から愛人のいるアンタに、愛波を幸せには出来ない。オレは、そう思ってた。だから、愛波が家に来た時、追い返すことをしなかった。」
─ ヤメろよ‥、結婚 ─
あの夜、樹の言葉に頷いて‥
樹の愛を感じて‥
もし、あのまま信じて飛び込んでいれば‥
後悔しても仕方ないけど‥
今ほどには、誰も、深く傷付くことは無かったかもしれない‥
そう思うと、遣り切れない気持ちになった。
「自分のこと棚に上げて、愛波ばっか責めんなよ。仮に、愛波に100%の非があったとしたって、暴力は反則だろ。愛翔くんへの虐待は、どう説明するんだよ。」
浩也は黙っていた。
真っ赤になった目で、あたしを睨んで‥。
その姿に、憐れみを感じたからかもしれない。
朝美さんに聞いたことを、あたしは話せなかった。