Doll‥ ~愛を知るとき


太陽の光に、ラインストーンがキラキラ輝いていた。


手のひらの十字架を見つめて、樹は、あたしに視線を戻すと

「これ、愛波にあげただろ。」

って、言った。


「いいの?」

「持ってなよ。魔除けにさ。」


─ その笑顔、すき‥


優しい笑顔を見せて、樹は車に乗った。

そして、クラクションを軽く鳴らし、彼は車を出した。


「さよなら」は言わなかった。

樹も、あたしも‥。


車が見えなくなった時、ふと、手のひらの十字架のロケットを開いてみた。


── 樹‥


我慢していた涙が零れて落ちた。


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