Doll‥ ~愛を知るとき


二人でアパートに向かった。

隣は、また空室になっていた。


「この部屋に住んでもいい。」

樹は、そう言った。

だけど、住む場所は歌穂にお願いしているからと断った。

想い出が色濃く残る中に、いつまでもいることは辛いから‥。


荷物の整理をして、必要なものだけを車に積み、あたし達はオバサンの店に向かった。

アパートを引き払う手続きを済ませたら、樹は、この町を出る。


「頑張れよ。愛波。」

「うん‥。」


乗り慣れた白いスカイラインの前で、あたしは彼に十字架のネックレスを差し出した。


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