Doll‥ ~愛を知るとき


言いたいことを全て我慢するよりは、例え討論になっても、伝えなきゃいけない時もあるのかもしれない。

あの頃は、初めから何もかもに萎縮してしまっていた。

その上、浩也の暴力が怖くて、ただ言われるがままだったけど‥。


「朝美さんがね、浩也の為に親身になって動いてくれてね。朝美さんなら、しっかりしているから、浩也も ちゃんとやっていけるわ。」


変わらない意地悪な口調。

そんな義母を見つめて

「浩也さんのことがホントに大切なら、朝美さんと仲良くしてくださいね。」

書き終わった用紙を差し出しながら、そう伝えた。


『朝美ちゃん』が『朝美さん』になっていることが気になったから‥。


「ありがとう。あなたに言われなくても分かっているわ。」


引きつった笑顔を見せて答えると、義母は離婚届をバッグに入れて立ち上がった。


「愛翔の籍は、エナさんの戸籍に移してちょうだいね。じゃ、お元気で。」


最後まで冷たさを崩さず、義母は部屋を出た。


 
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