Doll‥ ~愛を知るとき

大きな桜の木の下で、あたし達は話していた。

最後の別れから今までのことを。


愛優理はベビーカーで眠っている。

愛翔は、柵の間から鼻先を出している牛に、草をちぎっては食べさせていた。


「神様は、よっぽどオレらを くっつけたいんだな。」


四度目の偶然の再会。

あたしも、そんな気がしていた。

小さく頷いたあたしに微笑んで、樹は愛翔を呼び掛けた。


「愛翔、ソフトクリーム買いに行くか?」

「うんっ!」


駈けてきた愛翔を抱き上げ、樹は肩車をした。

「しゅごーい!たかーい!」

樹の肩の上で、愛翔がはしゃいでいる。

ベビーカーを押して樹と並び、遊歩道を歩くあたしは、とても幸せだった。

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