Doll‥ ~愛を知るとき
†23 抱擁
数週間後‥────
引っ越しの日、オバサンに お礼を伝える時は涙が止まらなかった。
「エナちゃんは孫と同じだから、また遊びに来なさいねぇ。」
そう言ってくれたオバサンの声も涙声だった。
親切にしてくれたことを ずっと忘れない。
「ありがと‥。」
あたしは、オバサンに抱きついた。
少ない荷物は、樹の車のトランクに全部収まった。
駆けつけてくれた玲央と歌穂に また会う約束をして、あたし達は車に乗った。
「ありがとう。」
「バイバイ、また連絡するからね♪」
新居は、この町だけど少し距離がある。
新しく生活を始める家へと向かって、樹は車を走らせた。