Doll‥ ~愛を知るとき
きっと、樹に叱られる。
それに、あたしも この町のことを詳しく知らない。
「あの、あたし‥。」
断ることを躊躇っていると、大竹さんは察したみたい、
「無理ならいいの。突然ごめんなさいね。」
そう言って、覗かせていた顔を仕切りの向こうに引っ込めた。
─ 良かった‥
とても緊張していたから、心臓がバクバクと音を上げて鳴っていた。
深く息を吸い込んで静かに吐き出し、あたしは残りの洗濯物を干して部屋に戻った。