Doll‥ ~愛を知るとき
子ども達が眠ったあと、二人きりになったリビングルームでソファに座り、あたしは樹と話していた。
「愛波、これからは いっぱい幸せになろうな。」
「うん♪」
オーディオから、静かな音で歌が流れている。
いつか聴いた、女性ボーカリストのハスキーな声。
その曲がバラードに変わった時、気付いたことがあった。
「ね、この曲。あたしのケータイの着信音だったよね?」
あの頃、樹が買ってくれたケータイの着信音と同じ、切ない音色が流れている。
樹は、恋の歌だって言った。
初めてkissして、初めてあたしを抱いた夜に流れていた曲。
そのメロディがケータイにインストールされていたから、着信音に選んだって‥。
「きっと、ココロのどこかでは、オレのこと思い出して欲しかったんだよな‥。」
そう言って、あたしを抱き寄せ甘いkissをした。