Doll‥ ~愛を知るとき

子ども達が眠ったあと、二人きりになったリビングルームでソファに座り、あたしは樹と話していた。

「愛波、これからは いっぱい幸せになろうな。」

「うん♪」

オーディオから、静かな音で歌が流れている。

いつか聴いた、女性ボーカリストのハスキーな声。

その曲がバラードに変わった時、気付いたことがあった。

「ね、この曲。あたしのケータイの着信音だったよね?」


あの頃、樹が買ってくれたケータイの着信音と同じ、切ない音色が流れている。

樹は、恋の歌だって言った。

初めてkissして、初めてあたしを抱いた夜に流れていた曲。

そのメロディがケータイにインストールされていたから、着信音に選んだって‥。

「きっと、ココロのどこかでは、オレのこと思い出して欲しかったんだよな‥。」

そう言って、あたしを抱き寄せ甘いkissをした。


< 661 / 666 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop