Doll‥ ~愛を知るとき


「ん?ジュース?」

「うん。自販機に買いに行きたい。お散歩したいな。」

樹は優しく頷いてくれた。

ちょっぴりホッとした。

「ね、早く行こう。」

樹のすきな声で、あたしは彼を急かした。


「慌てんなって。」

「だって、お散歩行きたいもん♪」


あたしを見つめる彼の口元に、笑みが浮かんでいる。

そんな僅かな変化に嬉しさを感じる。


アパートを出て、自販機がある商店までの道のりを、あたし達は手を繋いでゆっくり歩いた。


< 68 / 666 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop