Doll‥ ~愛を知るとき
「ん?ジュース?」
「うん。自販機に買いに行きたい。お散歩したいな。」
樹は優しく頷いてくれた。
ちょっぴりホッとした。
「ね、早く行こう。」
樹のすきな声で、あたしは彼を急かした。
「慌てんなって。」
「だって、お散歩行きたいもん♪」
あたしを見つめる彼の口元に、笑みが浮かんでいる。
そんな僅かな変化に嬉しさを感じる。
アパートを出て、自販機がある商店までの道のりを、あたし達は手を繋いでゆっくり歩いた。