Doll‥ ~愛を知るとき


樹が動いている間、あたしはあたしじゃなくなる。

気が狂ったように喘いで、彼の名を呼び続ける。


激しい波が弾けた時、樹の動きが止まった。

ドクドクと脈打つ余韻だけを、あたしの中に残して‥。


「どう?良かった?」

軽く呼吸を乱して、彼が隣に寝転んだ。

「うん、とても‥。」

ちょっぴり甘えた声で答えて、汗をかいた彼の胸に耳を付けた。


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