触れる体温
引き戸の向こうのその人は、いつもの金沢先生。引き戸をあけた時に、一人の大きな男の子、金沢正樹くん。そんな人だ。

本人には、一度も言ったことはないけれども。


からからと、入り口の引き戸をあける音がして、いつものスニーカーのキュッキュッという足音がした。

配架の手を止めて振り返ると、いつものニマッとした笑顔の金沢先生がいた。

「お疲れ様です、谷川先生。明日の授業用に、今月分のジャパン・ニューズ見たいんですが、出してもらえますか?」
「はーい。ちょっと待ってくださいね」
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