年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)
 由也くんは、お腹いっぱい食べてくださいね、と言いながら運転する。私も何皿平らげるか記録に挑戦だあ、と答えると由也くんは何も言わずにニコニコしていた。


「へ??」


 着いた先は立派な日本家屋、落ち着いた雰囲気の料亭らしかった。由也くんは運転席を降りて助手席のドアに回る。そしてドアを開け、腰を抜かした私の手を引き、エスコートするように中に連れ込んだ。

 軒先にいた接客係と思われる着物姿の女性に先導されて中に入る。ピカピカに磨かれた廊下、脇に生けられた花、ライトアップされた庭園……。どう見ても高級な料亭。案内されたのは個室。着物姿の女性はアルコールの注文を聞くと部屋から下がって行った。


「個室の方がゆっくり話せると思って」
「そ、そうだけど、回転寿司の後にうちに寄ってくれればいいのに」
「……」
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