年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)
 そのあとはよく覚えていない。気付いたら自宅にいた。着ていたスーツがシミだらけになっていて、相当泣き零したのは分かった。人間、泣き過ぎて記憶が飛ぶこともあるんだって初めて知った。
 近い将来、由也くんの隣に他の女性がいるなんて考えもしなかった。籍が入れられない上に一緒に暮らせないのは100歩譲ったとしても、他の女の子と結婚生活を送るのは嫌だ。由也くんはそこまで考えて判断したんだろう、私を手放したほうがお互いのためだって。

 仕事をしていても頭を巡るのは由也くんのことばかりだった。このまま付き合っていたら、由也くんは私の目の前で他の子と結婚する。きっとドコゾヤの令嬢でお金持ちで、エステや高級ブランド服で着飾った綺麗な人だろう。ウェディングドレスも特注で何百万円もするようなやつで豪華に挙式するんだろうか。私は平々凡々な平民だ。それならそれで自分が愛人でも仕方ないと諦められる一方で、そんな綺麗な人に由也くんが心移りしちゃうんじゃないかと怖くなった。
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