年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)
「ふ、副社長ってなんで? 宝くじの副賞だった??」
「いえ。本当は兄が継ぐ筈でした。でも兄は父と喧嘩して」
「あ、ニューヨークで画家を目指して、って言ってたよね」
「はい。父は激怒して兄を勘当して……」
「って由也くんの父親が社長……、つまりスマ乳の跡取り息子ってコト?」
「はい……」


 そういや、スマイル乳業のコ?って聞いたとき、一瞬驚いた顔をしてた。そっか、“コ”を“子供”と勘違いしたからだ。


「じゃ、許嫁がいるとか?」
「いえ」
「じゃ、お見合いするとか?」
「いえ」
「じゃ、そんなの関係ナッシングで私に飽きたとか」
「それはないです、綾香さん面白いし年上って感じもないし」
「それ褒めてないよ」
「一緒にいて落ち着くし。抱きまくらみたいで」
「まあ、スレンダーな方じゃないから抱き心地いいかもって、おい」


 由也くんの様子から私を嫌いになって別れたいと言ってる訳じゃないのは分かった。


「だから、別れてください」
「え、スレンダーな娘がいいわけ?」
「……」
「そこで黙り込まないでよ」


 由也くんはまた黙り込んだ。黙ってたら分かんないよ……。


「と、とりあえずごはん食べよ」


 私は立ち上がってキッチンに向かった。

< 14 / 600 >

この作品をシェア

pagetop