年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)

 どのくらいしただろう、玄関のベル音で目が覚めた。新聞の集金か何かの訪問販売か、でも時計を見たら23時。のっそりと起き上がり、ドアスコープから外を覗く。スーツ姿の由也くんだった。ドアを開けた。


「夜分にすみません」
「あ、ううん」
「大丈夫ですか?」
「うん。あ、やだ、こんな格好……疲れてそのまま眠っちゃって」
「ほんとに大丈夫?」
「……」


 駄目って言いたかった。一人で潰れそうだよって言いたかった。由也くんを見上げる。頬が赤くて息も荒い。


「由也くんこそ」
「綾香さんが心配で走って来て。と言ってもタクシー降りたそこの通りからですけど」
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