年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)

「体調は悪くないんだ。嘘ついてごめんなさい……」
「綾香さん?」


 でももし私が風邪で、風邪をこじらせてたら由也くんはどうしてただろう、きっと病院に連れてってくれて入院することになったら手続きとか入院の支度とか付き添って看病もしてくれただろう。


「何があったの? 仕事で嫌なことあったの?」
「ううん……」
「もしかして……ピンクのドレス、着たかったの?」
「……」


 着たいけど、着るだけじゃない。普通に結婚したいなんて言える筈もなく黙り込んだ。


「そんなに着たいなら作ろ」
「ううん、いいよ……」
「そのくらいの貯金あります。国内になった分、旅費も浮いたし」


 お腹空いてない?、カステラあるよ、と由也くんはコンビニ袋から品物を出す。由也くんの長所は優しさだと思う。でも今夜ばかりは短所だ。優しくされた分だけ惨めになる。

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