年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)
「親戚とか友達の披露宴とかパーティーとか華やかな場に着けるらしいけど、私は戸籍上独身だし」
「……」
「……」
二人で黙り込む。私は焙じ茶を啜り、ごまかした。
「ほんと、いらないから」
「じゃあ代わりのものを」
「勿体ないからいいよ」
そうですか、と由也くんは申し訳なさそうに言って今度は結婚指輪のページを開いた。
「……」
「……」
彫りの深い顔の外国人カップルが幸せそうに指を絡めている写真、薬指には勿論シンプルな指輪をはめている。
戸籍上独身の私は結婚指輪だってはめるわけにはいかない。
「ひ、左指は無理だけど右の薬指ならはめられるかな」
由也くんはしばらく考え込んだあと、ふう、とため息をついた。