年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)
「やだな~。今回遅れてたからちょっと心配になっただけ! ちゃんと来たから」


 言えなかった。同意書にサインしてって書類を出せなかった。食事を終えて時計屋さんに行く。修理でも直るというので頼むことにした。店員さんの勧めで、ついでに私のもメンテナンスをお願いした。それぞれに腕時計を外し、ベルベットのトレーに置いた。


「寂しくなりますね」
「うん……」
「少しの辛抱ですから」


 空いた左手首、軽くなった分寂しくなった。まるで由也くんとの関係すら軽くなってしまったかのように。由也くんは私を見てニコニコと笑う。その優しい笑顔に胸が苦しくなる。


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