年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)
 そりゃあ、あんな暖かい家庭で赤ちゃんを育てられたら幸せだろうなあって。赤ちゃんだって幸せだと思う。

 でもその幸せとは引き換えに、生まれてきた子供には一生嘘をついていく。本当は由也くんの子供なのにそれをひた隠す。真面目で温厚で優しい人の子だって、私が生涯愛する人の子供だよって言えずに……。


「……」


 それは由也くんと私の関係を否定することにつながるんじゃないか。その子を否定することになるんじゃないか。


「……」


 それに鎌谷のご両親だって騙されたことになる、だって生まれてきた赤ちゃんは鎌谷の子供じゃないんだから。


「……出来ないよ、そんなの」


 鎌谷のご両親が目尻を下げながら赤ちゃんをあやす姿が目に浮かんだ。ご両親はいい人だ。だから尚のこと騙したり出来ない。裏切るなんて出来ない。鎌谷だって好きな人がいるって言ってたじゃないか。そんな鎌谷に甘えてばかりいられない。


「ごめんね、本当にごめんね……」


 手で下腹部を撫でる。許してなんて言わない、恨んで恨んで恨み潰してくれていい。涙がこぼれ落ちる。私はしばらくプラネタリウムの中で泣き続けた。

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