年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)
 週明け、私は鎌谷に堕ろすことにしたと告げた。


「いいのかよ」
「うん。ごめん」
「謝るなよ、別に俺は何もしてねえし。それよりボンボンに話した方がいいんじゃねーか」
「言いづらいし、いい」
「じゃあ俺が話しつけてきてやる」
「や、辞めてよ」


 朝の給湯室、鎌谷は怒る風でもなくコーヒーを啜る。しかも今日のインスタントコーヒーはカフェインレスの。わざわざ新しいのを買ってきてくれた。


「手術、付き添うか?」
「いいよ。平日だから仕事あるじゃん」
「遠慮すんなよ、俺書類上は“父親”だし。午後なら半休で済むだろ」
「うん……」
「手術の時間には間に合わねえけど、終わるまでには行けると思うから」


 鎌谷の優しさが浸みる。鎌谷がモテるのも分かる気がした。

< 279 / 600 >

この作品をシェア

pagetop