年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)
「迷惑でしょ?? だって望まれてくる命じゃなかったからっ! 疎まれて生まれてくる命だったからっ!」
「綾香さんっ!!」


 由也くんが声を荒げた。肩を震わせて堪えている。
 ドアをノックする音がして看護師さんが入って来た。大きな声が聞こえて慌てて来たらしい。痴話喧嘩だと察すると術後の患者さんに負担を掛けるな、近隣の部屋にも聞こえるから静かにと注意して部屋を出て行った。


「綾香さん、ごめん」
「私こそ……」
「とりあえず休んで。僕も今夜はここに泊まります」


 由也くんは私の布団をかけ直した。静かな室内、天井を見つめる。今は何も考えずにおこう。ぼうっとするうちに私は再び眠りに落ちた。

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