年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)
「あ、今日もスマ乳車があるある。ひひひ」


 その日も私はデパートの裏口で社用車を見つけてニマニマした。今までの勝率は2勝4敗、確立は3割3分3厘。バッターなら好成績だ。


「ひひ。いた」


 ひょろひょろの長身、スマ乳ジャンパーを羽織った由也くん。新商品のアピールに来たんだろうか、オバサンの店員さんと熱心に棚がえをしていた。年上受けするからなあ、と遠巻きに眺めていた。由也くんは私の姿に気付き、こっちへ来た。


「長谷川さんおはようございます」
「おはようございます、スマ乳さんも頑張ってますねえ」


 由也くんは内ポケットから名刺を出し、その裏にメモ書きする。体調はどうですか?、と書いて私に見せる。


「ええ。ぼちぼちです」


 そう返事をすると、今夜伺っても大丈夫ですか?、寿司買っていきます、と書いてまた私に見せる。


「はい、そうですね」
「よろしくお願いします」
「いえいえこちらこそ」


 そんな妙な会話をして目配せをして別れる。

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