年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)



 ……あれ、ここは何処だっけ……ああ、由也くんと挙式した高原。新緑が綺麗だな……5月か6月、うん、そうだ。鐘の音が聞こえる……結婚式だ。純白のドレスに身を包む女性……後ろ姿で分からない。あ、あのドレスだ、私かな……? あ、振り返ってこっちを向いた……



『長谷川さん私、由也さんと幸せになりますっ』


「えっ!!」


 私はガバッと起き上がった。真っ暗な室内、ベッドの上。


「……夢か」


 寝汗をかいたのかパジャマがじっとりと纏わり付く。時計を見れば夜中の2時。このところ寝付いても夜中に目覚めてしまう。


「しかも綿菓子のドレス姿……」


 夢でうなされて目覚める日もあれば、ふと目覚める日もある。どちらにしても夜中に目覚めて眠れなくなっていた。かれこれ2週間。
< 477 / 600 >

この作品をシェア

pagetop