年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)


「水、飲も」


 私はむっくとベッドから下りて冷蔵庫に行く。ミネラルウォーターを出しゴクゴクと飲み干した。

 睡眠時間3時間、こんな日が続いても人間って倒れない。結構丈夫なんだと驚いた。これが不眠症かもしれない。寝付きが悪いのを不眠症かと思ってたけど、こういうパターンもあるのだと実体験から認識した。眠れずそのまま朝までダイニングで朝まで過ごし、支度をする。電車に揺られて更にボーッとなる。覚束ない足取りで会社まで歩く。エントランスに鎌谷の姿は無い。きっと私に会いたくなくて出勤時間をずらしたんだろう。エレベーターに乗ると加速度で頭がグラグラした。

 シャキッとしたくて缶コーヒーを買いに行く。途中、給湯室に向かう鎌谷とすれ違った。


「……」
「……」


 軽く会釈だけして挨拶すらしない。互いに避けている、唯一本社にいる同期なのに。缶コーヒーを買い、来た廊下を戻る。給湯室をのぞくと鎌谷の背中が見えた。やかんに水を入れている。話し掛けたい、話を聞いて欲しい。

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