年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)

 そして空港に向かう。待ち合わせで現れた由也くんと手続きをして飛行機に乗り込んだ。


「由也くん、由也くんの部屋に星空がさあ」


 由也くんは、綺麗でしょ?、僕の部屋にも全く同じものがありますよ、と言って微笑んだ。全く同じなら季節も同じ夏の空だろうか、冬とか秋では無く……。


 結局、オーロラは見えなかった。アラスカの発着時刻が夜なら機内から見えることもあるらしいけど、残念ながら行きも帰りも朝の便。最終日、帰りの荷物をまとめ、早朝に宿を出た。見れなかったのは私だけじゃない。同じ直行便でやって来た日本人観光客300人も見てはいない。天候次第なのは承知した上で来たのだから文句も言えない。


「見れなかったね……」
「そうですね」
「由也くん、きっといつかまた来てね」
< 534 / 600 >

この作品をシェア

pagetop