年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)
「よ……由也く……」
由也くんを助けたい、でも足がすくんで動かない。突然、父親の手が止まった。割烹着の女性が父親の腕を掴んでいた。
「お父さんっ!」
「母さん放せ! こいつは……こいつまで俺を!!」
父親は女性の、つまりは由也くんの母親の手を振り払おうと腕を振る。でも母親は両手で必死に握り、阻止した。
「僕は……父さんを裏切る気はありません……会社を裏切る気も……でも彼女も諦めない」
由也くんは切れた唇を手首で拭きながら言った。瞼は腫れ、頬も内出血したのか色が変わっていた。