年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)

 携帯のメール着信音が鳴る。見れば由也くんから。僕は慣れてるし大丈夫だから、驚かせてごめんなさい、と私を気遣う文面だった。


「こんなときまで……」


 見つめていた画面に水滴が落ちる。もっと私を責めていい、私が我が儘言うからだって怒ってくれていい。何でも溜め込んで黙って受け入れて、何でもない風に振る舞って。それが優しいって思い込んでるんだから……。

 これから先どうするか悩む。由也くんは父親を説得するっていうけど、また殴られたらと思うと怖くなった。答えも無いまま休暇は終わる。久々に出勤すると連休明けでメールや雑務が山積みになっていた。ため息をつく暇もない、年始のあいさつの社名入りタオルを持って新年の挨拶に回り、やっと帰社したのは15時過ぎだった。会社のエントランスに着きホッとしたのか息を吐く。それと同時にお腹が鳴った。

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