年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)
「昼前? って3時間も??」
「ええ」
私は受付嬢に礼を言い、恐る恐るその女性に近付いた。クレームだろうか、いやクレームなら直接携帯なり営業部長なりに連絡はある筈だ。見覚えがあると言えばあるけど顧客じゃない……。
「あの長谷川ですが私に……あ、ああ??」
由也くんの母親だった。割烹着姿とのギャップがあって気付くのが遅れた。由也くんの母親は立ち上がり、突然にすみません、と深々と頭を下げた。私も合わせて頭を下げる。
「長谷川さんお時間、よろしいですか……?」
「はい……」
一体、何しに来たんだろう……。それを推測する前に私の頭の中でフラッシュバックする、父親が馬乗りになって由也くん殴りつける瞬間、切れた唇を拭う瞬間……。
どのみち会社のエントランスでは話せない、私は近くの喫茶店に彼女を誘った。