年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)
 カマキリと交尾してないのは理解した。昨夜の記憶を辿る。八海山を一気飲みして途中から記憶をなくしたんだ。そしてここは鎌谷の部屋で、鎌谷はここまで私を担いで来たんだろう。枕元には洗面器にタオル、おそらく私は吐いてのた打ち回ったに違いない。


「カマ、ごめん」
「気にすんな。俺が介抱するって言ったんだ」


 また由也くんの声が聞こえた。八海山を吐いたなんて勿体無いよ、って。空耳。


「大丈夫か? まだ気持ち悪いか?」
「少し」
「気持ちはすっきりしたか?」
「……」


 飲んで忘れるっていって忘れられる訳が無かった。当然。まだ一昨日の話だし。

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