年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)
 一口飲む。もうだいぶ冷めてぬるいのに暖かくて、気が緩んで涙が出そうになった。みっともないと思いながら鼻を啜る。

 すると私の横に立つ人がいた。横目に見るとカップルではなく一人、男性のようだった。1メートルくらい離れた位置、丸っきりの他人にしては至近距離に感じて一歩横にずれる。するとその人物も私を追いかけるよう横にずれた。

 背が高くてヒョロッとしてて、あまりにも由也くんと風貌が似ててドキドキした。別れようって言った張本人がここに来る訳がない。その胸の高鳴りを押さえようと隣人が由也くんでないことを確かめるべく、隣を見上げた。


「へ?、ななな……よ……」
「お元気でしたか?」


 本当に由也くんだった。


「ひ、ヒ~っ!」
「お化けじゃありません、綾……長谷川さん。お元気そうで何よりです」
「は、はい、おおお蔭さまでお元気です……」


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