しわくちゃになったら、会いに行きます。


 男がそう言いきる前に、ものすごい衝撃音が轟いた。


 男が殴られたんだと、あたしは自分の身が自由になってようやく理解する。




 「こ……のっ」




 男が大藤くんに向かって走り出す。


 アイマスクとガムテープを取って、そそくさと制服に身を包んだ。


 彼に、こんな姿を見られたくない。


 でも、薄暗い闇の中で暴れはじめた大藤くんは、そんなことは気にも留めていなかった。


 5、6人はいる集団に、大藤くんは一人で殴りこむ。


 たぶん男たちの方が強い。


 ガクガク震えて言うことを聞かない四肢を奮い立たせて、あたしは茂みを飛び出した。


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