しわくちゃになったら、会いに行きます。




 「彼の笑顔、見たことがある」




 途端、お兄ちゃんは肩の力を抜くようにソファに凭れた。


 キョトンとしたあたしに、安堵の表情を見せて笑う。



 「間違いないな」




 「……どうして?」




 お兄ちゃんは、吸い終わったタバコを灰皿に押し付けて、あたしを見る。


 その笑顔は、なんだか昔を思い出しているようなものだった。




 「俺、お前に会わせたことあるんだ、あいつと」


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