しわくちゃになったら、会いに行きます。


 ふわ、と風が舞い上がって、桜の枝を揺らす。


 風に負けた桜が舞い散る姿に、隣に立つ彰太くんの、ない影を探してしまった。


 その儚さに、思わず言葉が口を突く。




 「また、会える?」




 視線を交わすことは、出来ないままで。


 けれど、驚きの声と同時に動く気配は、確かに柔らかくて。




 「うん。いいよ」




 頭上から聞こえた声は、以外にも清々しくて。


 一人で勝手に色々考えて照れたりなんかして、恥ずかい人だ、あたし。


< 39 / 211 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop