しわくちゃになったら、会いに行きます。


 目ざとく気が付いた彰太くんが、あたしを覗き込む。




 「朱里ちゃん?」




 視線を合わせるのが恥ずかしくなる。


 どうして、恋を自覚するとこんなにも恥ずかしいのかな。


 人間の心理って、難しい。




 「ううん、なんでもないよ」




 顔を上げて、微笑む。


 あたしは、もう一度お礼を言って、校門を見上げた。


 彰太くんも一緒になって見上げる。


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