それでも僕は君を離さない
軽く自己紹介を済ませて各自ペットボトルの栓を開けた。

テーマは『人間の欲求』だった。

難しいテーマだと思った。

私には左右に座った二人の重圧に耐えられるかという心配もあった。

先輩は透吾さんと面識がないはずだ。

透吾さんは先輩がラボにいることは知っているはずだ。

私は頭痛がしてきた。

手元の冷えたお茶をひと口喉に流し込んだ。

そしてこのミーティングから早く開放されたいと願った。

まだ始まったばかりなのに。

テーマを聞いて最初に思い浮かんだことを一人ずつ話していった。

メンバーは皆ひと言ずつ食欲、物欲、性欲、征服欲、禁欲、金欲、戦欲と

静かに述べた。

私は最後の番だった。

そして私が思ったことを口にした途端

その場の雰囲気が一変してしまった。

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