それでも僕は君を離さない
先輩にとって私は後輩の一人でしかなかった。

同じ研究チームの一員として私は必死に勉強した。

チームに貢献したかった。

何よりも先輩に認めてもらいたかった。

あっという間に卒業が近づき

先輩は今度は自分の卒論のための研究に没頭した。

いつも二人で行動していたことがパッタリとなくなり

私はいきなり一人だけの世界に放されたことで

心の中にぽっかりと穴が空いた状態だった。

それでも就職して日々仕事をこなしていくことができて

幸運だと思った。

透吾さんと付き合い始めても

自分の気持ちははっきりしなかった。

< 89 / 126 >

この作品をシェア

pagetop